2010年3月1日月曜日

ふるさと侍従川に親しむ会の10周年記念イベント

■ふるさと侍従川に親しむ会の10周年記念イベント(2003年 11月16日)
廣瀬隆夫

先日、ふるさと侍従川に親しむ会(略称 侍従会)の10周年記念のイベントがあったのでスタッフとして参加した。午後の2時から始まって5時近くま で、侍従会への熱い思いが語られた。

この会は、自然を守りましょうというのでなく、自然を取り戻そうということを主眼においている。環境保護というと、野山にロープを張ってここに入る なとか、虫をとるな、とかうるさく言う人たちがいる。この会の人たちはそのようなことは言わない。頭だけで考えているのでなく、実際に体験を通して自然を 理解しているからだ。この会の最終的な目的は、侍従川を昔のように子供たちが遊べる川に戻そうということだ。エコロジーアップ、通称エコアップと言う運動 が全国各地でに行われている。屋上に水槽を置いてしばらくすると、空中に浮遊する茎藻類の種が水に落ちて、そこに藻が生えてくる。それを食べに昆虫が飛ん でくる。その虫を食べに鳥が来る。鳥の糞などで運ばれてカワニナ貝が増える。それを餌に蛍が集まる。と言うように、何をしなくても水槽の中に小さな生態系 が出来あがる。

侍従会は、このエコアップを10年間、大道で実践してきた。この侍従会は、トンボ池という池作りから始まった。大道小学校が出来る前は、このあたり は一面の田んぼだったらしい。その田んぼを埋めて学校を作った。昔は、運動会の時に雨が降ったりすると、埋め立てられた田んぼに住んでいたカエルの恨み だ、などと言う人もいた。また、学校の後ろに山を抱えており、その麓にある小さな井戸は、山から絞れる水が絶えない。かつては、物置小屋(石炭置き場) だったそうだが、そこに先生や生徒、住民が手弁当で協力して池を掘った。素人が集まって作ったのだからかなりの難事業であったらしいが、生徒の親御さんが ユンボを貸してくれたりして小さな水たまりがみんなの力で自然の池になった。何年かするとそこにトンボが来た。山からカエルも産卵のために降りてきた。メ ダカも増えた。そしてこの池はトンボ池と呼ばれるようになった。今では、子供たちがザリガニ釣りをやったり、トンボをとったり出来るようになった。

このトンボ池で増えたメダカが大雨の時に流れ出したのか、侍従川でメダカが増えていると言うことを子供たちがみつけた。そこで、侍従会は、フィール ドをトンボ池から侍従川に移した。池という点から侍従川という線に活動の場が広がったのである。侍従川は、一時、本当に汚れてしまった。川岸を歩くと悪臭 が漂っていた。県が定期的に川にシャベルカーを入れて川底のヘドロをさらっていたが、しばらくするとすぐに元の汚い川に戻ってしまうことの繰り返しだっ た。上流は3面コンクリートで固められてしまって、ほとんど生きもののいない、ただ汚水が流れているだけの下水道になってしまった。

侍従会は、ドブさらいをやめさせて、川を浄化させる目的で葦を植えた。自然の川に近づけるために川に石を置き、流れに変化をつけた。外科手術をする のでなく、自然の治癒力で川をよみがえらせようとしたのだ。しばらくすると、見違えるように水がきれいになった。水草が生えてきた。めだかや、はぜが戻っ てきた。それを追ってカワセミ、サギ類が飛来するようになった。最近は、カルガモが住みついて春になると親ガモに連れられた子ガモのほほえましい行列が見 れるようになった。

この会の特徴は、子供が中心と言うことだ。大人は、川の清掃や草刈をするなど、子供たちのサポート役だ。川の汚染状況や生物の分布などを小中学生の ジュニア探検クラブの会員が定期的に行っている。調査という大義明文があるので子供たちは、堂々と川の中に入って遊ぶことが出来る。網を持って魚を追いか けている子供たちの目はキラキラ輝いている。今回も彼らからの報告があった。ハキハキと発表する子、はにかんで後ろに隠れてしまう子など様々だがこれも個 性があって面白い。最後に、座談会形式で、今までの活動をふりかえった。結局、出席者の全員が侍従会への熱い思いを語ることになり予定の時間を大幅に過ぎ てしまった。

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